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人間と禽獣(きんじゅう)その3

禽獣は知能からいっても、人間と似たものを備えている。生活の方便を人間から学ぶわけではない。 オスとメスがつがって子をつくり、母は子を可愛がり、子は母を慕う。すみかには、敵から身を守りやすい、しかもあたたかい場所を選ぶ。 行くときも止まるときも群れをなし、弱いものを内側において、強いものが外側をかためる。水を飲むのもいっしょ。餌をあさるにも互いに鳴きかわして群れを崩さない。
(参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店

人間と禽獣(きんじゅう)その4

そもそも太古には、禽獣も人間とともに暮らしていたのだ。それが五帝の時代になって人間に逐(お)われて遠ざかり、いまでは、人間からの危害を避けるために、 逃げ隠れするまでになってしまった。聖人は、まるで鬼神、魔物のたぐいを帰服させ、ついで、天下り人びとを教化し、最後に禽獣、虫けらのたぐいに いたるまで恩沢を施した。というのは、生きとし生けるもの、心情も知能もたいして違わないことを知っていたから、人間だけを特別扱いにはしなかったのである。
(参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店