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王さまと奴隷 その3

さぞ辛かったろうと同情するものがいた。だが老僕はいうのだった。「人生百年のうち、昼と夜が半分ずつ。 昼間は下僕として、つらい仕事をさせられています。でも夜は王さま。この上ない楽しさです。別に不満はありません。」 いっぽう尹家の主人は、金儲けに身も心もすり減らし、疲れきって床につく。夜ごとの夢には下僕となって、走り使いから立ち働きまでさせられ、 何かにつけて叱られたり殴られたりした。だから、明け方までうなされとおしだった。
(参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店

王さまと奴隷 その4

尹家の主人はたまらなくなって友だちに相談した。友だちはいった。「君は地位も財産も人よりずっと恵まれているではないか。 夜、夢で下僕になるのはあたりまえだ。楽あれば苦ありというものだ。 寝てもさめてもいい思いをしようなんて虫がよすぎるな。」主人はその友だちの言葉を聞いてから下僕の仕事を減らし、 自分も神経をすり減らさないようにしたので、主人も下僕もいくらか苦しみがやわらいだ。
(参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店