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大勇と匹夫の勇

「職場に駆け入りて討死するはいとやすき業にて、いかなる無下の者にてもなしえるべし。生くべき時に生き、死すべき時にのみ死するを真の勇とはいうなり」と、水戸の義公(徳川光圀)は言う。西洋で道徳的勇気と身体的勇気との間に立てられている区別は、私たちの間で久しく確認されている。サムライの青年で「大勇」と「匹夫の勇」(身分も教養もない男、よく考えずにただ血気にはやる勇気)とについて耳にしたことのない者がいようか。
(参考:佐藤全弘訳新渡戸稲造「武士道」):教文館

母親の泣く子への言葉

剛勇、不屈、大胆、豪胆、勇気は青少年の心にきわめて容易に訴えかけ、鍛錬と模範で訓練できる魂の性質であるから、青少年の間で早いころから見習わせた最もら人気のある徳であった。戦の手柄の物語は、少年たちがまだ、母のふところを離れないうちに、くりかえし語られた。ちびっ子がどこか痛くて泣くと、母親は子を叱ってこう言うのである。「ちょっとぐらいで泣くなんて、何という弱虫です。戦場でお前の腕が切り落とされたらどうするつもりです。ハラキリをせよと命ぜられたら、どうするのです。
(参考:佐藤全弘訳新渡戸稲造「武士道」):教文館