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君主は民の父母

封建君主は、その家臣に相互的義務を負うとはつゆ思わなかったけれど、自分の祖先や天にたいして、いっそう高い責任感を覚えた。君主は臣下にとって父であり、天が臣下の保護を彼に委ねていたのである。孔子は「大学」の中で教えた。「民の好むところこれを好み、民の悪にくむところこれを悪む、これをこれ民の父母という」と。こうして、民主主義と絶対主義とが、互いに融け合ったのだった。
(参考:佐藤全弘訳新渡戸稲造「武士道」):教文館

専制政治と父権政治

武士道もふつうその語に与えられているものとは違った意味で、父権政治を受け入れ、また確認した。専制政治と父権政治の違いは次のことにある。すなわち、前者において人民はしぶしぶ服従するのにたいし、後者では「かの誇り高き推服、かの品位ある従順、隷従そのものの中にあってさえ高邁こうまいな自由精神を生き生きと保つ、かの心服」をもって従うのである。
(参考:佐藤全弘訳新渡戸稲造「武士道」):教文館